そもそもの問題点

国勢調査は認知度が低い。5年に1度しか行われないのだから無理もないだろう。
そして役所の統計担当者だって、5年のうちに異動があって、前回も担当になった人、というのはどこの自治体でも数少ない、いないのではないか。
つまり、認知度が低い上に、スキルの高い従事者がいない、という二重苦である。これらが解決されれば多少は従事者が仕事しやすくなるのではないかと思うだが。
従事者のスキルの話は各自治体で対処しなければならない問題で、大事なのは認知度の問題。先日行われた衆議院総選挙と比較してみる。
選挙はいつの時代でもマスコミが面白おかしく報道してくれる。認知度も必然的に上がってくれる。がしかし国勢調査はマスコミが「自発的に」報道してくれることはない。では何を持って認知度を上げるかといえばそれは「広報」である。
実は、先日の衆議院総選挙には770億の予算がついていた。しかも衆議院議員の任期を2年残しており、予備費から捻出したのに、だ。しかし、今回の国勢調査の予算は649億。これらには人件費や諸経費も含まれており、すべてが広報費、というわけではない。それにしても、選挙と国勢調査にかける予算の配分の仕方には差があるといえるのではないか。
選挙の広報は「投票率を上げる」のが目的であるが、国勢調査の広報は「100%を目指す」目的でなければならない。もともと認知度が低いのだから、この辺にはもっと金をかけてもいいのではないか、と思うのだが。

先日の総選挙費770億、というのは私の記憶であり、ソースを探したがちょっとすぐに見つからなかった。記憶によれば「小泉総理が郵政民営化について国民アンケートを取りたいがために解散した事により770億の経費がかかった。770億あれば東南アジアのマングローブが何万ヘクタール保護できる・・・云々」というような記事を読んだような気がする。

最後に「国勢調査がそもそも必要か否か」という点については、個人的には(役人であるから思うのだろうが)必要であると思っている。ただ、今回のような体制で行われ、協力が得づらい状況でやるのならばきちんとしたデータは得られないと思うので廃止してもいいのではないかと思う。
おそらく、今回の調査では「(前回の調査と比較して)国民の総意に基づく正確なデータ」は作成されないだろう、というのが現場の事務従事者の実感である。