マジかよ、おい

間もなく部長がやってきました。「いや、悪いねぇ、実はテレビを見たくてね」
確かにワタシの課には防災用、と書かれたテレビがあります。部長はテレビが目当てだったようで。なーんだ、ワタシの人事じゃなかったのか、とちょっとがっかり。部長がおもむろにテレビをつけます。
画面にはみのもんた。クイズミリオネアです。バラエティー番組にもかかわらず、部長は苦虫を噛み潰したような顔で画面を見ています。さすがにワタシは一緒になってテレビを見るわけには行きませんから、自分の仕事をしながら横目でテレビと部長を交互に見ます。
あっ・・・!!
テレビに見たことのある顔が!部長の表情がますます強張ってきます。テレビに出ていたのはワタシの会社の職員、しかも病休と言ってここ何ヶ月か職場に来ていない職員だったのです!
部長が口を開きました。「こんなに元気そうに、テレビ出ていて、会社では病休と言って休んでいて・・・これは由々しき問題だな・・・」
ワタシも最初はまさか、と思いましたもの。病気だと言って休んでいるはずの人間が、テレビに出て大笑いしている!公務員ですから病休中でも給料が支給されます。それでいながら・・・これは・・・
その職員の出番が終わりました。部長が、仕事の邪魔して悪かったね、と言って部長室に戻って行きました。
部長は明日どうするんでしょうか。部長と言う立場では職員の処分は出来ませんし、人事部に報告するにしても人事では処分できないでしょう。会社に損害を与えたわけではありませんから。処分できるとすれば「職務に専念する義務」違反と言うことになるかもしれませんが、本人は病休届け出していますし。逆に監督責任にもなる可能性があります。
それにしても分からないのはテレビに出た職員です。ばれないとでも思ったのでしょうか、それともおかしな行動だという認識がなかったのでしょうか。
テレビでは公務員と言う肩書きで紹介されてはおらず、もちろん病休中だと言うような紹介もされてはいませんでしたけど・・・